次の文は雑誌の広告写真についていたキャプションです。
「やさしいかわ ひとに ちきゅうに」
日本エコレザーの広告です。写真では、三人の子供が地球を持っています。やさしい革とは、アレルギーの原因となる金属とか有害物質のない皮革です。
それを考えると、どういう意味がありますか。
「やさしいかわ。人に作られた。地球のために」
「やさしいかわ。人のために。地球のために」
など。
よろしくおねがいします。
例の文章は省略された言い回しのようなものですけれども、強調されている言葉は「やさしい」です。そして、「やさしい」について考えますと、「誰にとってやさしいのか、何にとってやさしいのか」という疑問が自然に頭の中に浮かんできます。この観点から見ますと、「人に[作]{●}[ら]{●}[れ]{●}[た]{●}」のではなく、「何々[の]{●}[た]{●}[め]{●}[に]{●}」でもなく、「何々に[と]{●}[っ]{●}[て]{●}(やさしい)」や「何々に[対]{●}[し]{●}[て]{●}(やさしい)」というほうが正しい解釈でしょう。
たいていの人は、ぱっと見てこれは[倒置]{とうち}(inversion, anastrophe)だと認識すると思います。
「やさしいかわ ひとに ちきゅうに」 (倒置が起こっている)
← 「ひとに、ちきゅうに、やさしいかわ」(もとの語順)
「人にも地球にも優しい革」、「人間にも環境にも優しい革」という意味です。
「~に優しい」は、"to be kind to (someone)" という意味です。
ですから、「どの言葉がなくなったのですか」への答えとしては、語順が変わっただけで、どの言葉もなくなっていない、ということになると思います。